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2007年02月16日
これが現実の生活

 活動報告で、福祉関係のお仕事をされている後援者に引き廻しをしていただいたと書きました。その中のとある市営団地にお住まいの82歳のご老女をお伺いしたときの話です。
 引き廻しをしていただいてる最中にそのご老女から後援者に「相談したいことがある」と電話が入っていました。
 そしてその方のお宅にお伺いして、ご紹介頂き、ご支援をお願いしました。するとご老女は相談したいことを話し始められました。
「お寺さんに10万か20万ほど預けておこうかと思うんやけど…」
 聞くと、その方はかなり前にご主人を亡くされ、娘さんには先立たれたそうです。親戚はいるものの離れていて、今は市営団地で一人暮らし。娘さんが亡くなったときに残していたお金も生活に使い、蓄えはなく、少ない年金で生活しているとのこと。なぜお寺にお金を預けるのかというと、自分が死んでからちゃんと供養してもらいたいがために、今生きているうちに手当てしておきたいという思いから。その原資は昨日もらったばかりの2か月分の年金。
 つまりは今の生活に不安なんです。親戚も当てにならない。老人ホームに入りたくてもお金がないから、死んでもほったらかしにされるんじゃないか。その日その日を生きることに精一杯で、安心して死ぬことさえできない。このご老女はそういう状況に置かれているのです。
 このお話を隣で聞いていて、泣きそうになりました。今でも書いていて涙が出そうです。
 82歳というと、まさに青春時代といえる二十歳前後を戦争と戦後の混乱の中に身を置き、30代になると高度経済成長で毎日働くことばかり。定年退職して、これからは自分の人生を謳歌するぞと思いきや、生活不安が押し寄せてくる。
 一生懸命働いて収めた年金の掛け金でようやく安心な生活を送れると思ったら、どんどんどんどん年金は切り下げられ、税金が引かれ、介護保険料を取られ、その割には思った介護が受けられない。それが一人や二人じゃない。この一つの団地に何人ものそんなお年寄りがいるんです。
 今自分がここにいるのは先達や祖先の苦労や犠牲があってのこと。しかしそれを忘れ、自分のことを捨てて国のために尽くし生きてきた人たちに、置き土産が「先行き不安」とはあまりにも申し訳なさ過ぎます。
 本当に何とかしたい、しなくてはならない。しかし、自分ひとりだけでは何もできません。少しでもこの実情を知っていただくのが一番だと思い、書かせていただきました。

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