07年12月議会の一般質問全文
今日の質疑の議事録を記します。なお、これは原稿ベースで、速報版です。実際の議事録は若干異なることをお含み置きください。正規は後に発行される議事録に拠ります。
《質問》
こんにちは、民主クラブの山本忠相です。
今回は入り口の主題を教育に絞って質問をさせていただきます。
まず、子ども達の「放課後」対策についてお伺いします。
昨今、登下校中や放課後において、子ども達が犯罪に巻き込まれる事例がいくつか報道されています。また放課後の使い方によっては、一つの見方として、通常の学校教育では学べない社会性、例えば学年を超えた縦の関係を学ぶ場として、活用できるのではないかと考えます。
そこで、本市の小中学校における、いわゆる「放課後」対策はどのように行われていますか。具体的に制度として確立されている場合は、その制度の概要をお答え下さい。またその制度を利用している児童生徒は何名いらっしゃいますか。そのうち障害児は含まれていますか。いる場合は人数をお答え下さい。「放課後」対策における障害児への対応はどのようにされていますか。当局として現状をどう捉えていらっしゃいますか、考えをお示し下さい。
次に小学校の統廃合についてお伺いします。
ある市民の方から、隣接する小学校で児童数に10倍もの差があるのはおかしいのではないか、とのご意見を頂戴しました。
実際調べてみますと、昨年度の資料で、例えば雑賀崎小学校の児童数が105名なのに対して、直線距離で1.5キロ離れている隣接の雑賀小学校の児童数は945人と9倍の差がありました。また元々の設置校である野崎小学校が肥大化したために分割誕生した野崎西小学校が本校を上回る児童を有するという例もあります。その反面、中心市街地では、児童数145人の本町小学校から直線距離で600メートルしか離れていない城北小学校に171人の児童が在籍しており、中心地の過疎化が顕著であります。このように学校間での児童数格差が生じている状況をどのように捉えていらっしゃいますか。お答え下さい。
続いて教育現場での男女共同参画についてお伺いします。
国は1999年に施行された男女共同参画社会基本法に基づき、2000年12月に男女共同参画基本計画を定めました。この中には「ジェンダー・フリー」という言葉でもって男女の性差や区別さえも否定するものが含まれていました。この考え方が咀嚼されることなく教育現場へ下りたため、2003年9月、静岡県沼津市の9つの小学校が5年生を対象にした校外宿泊学習で児童を男女同室に宿泊させていたことが発覚。翌日には山形市でも同様のケースがあったことが分かりました。
昨年6月、文部科学省は「学校における男女の扱い等に関する調査」を行っております。調査結果は都道府県別に発表されていますが、和歌山県において、林間学校や修学旅行など宿泊を伴う活動の際に男女同室となっている学校が小学5年6年共に2校ずつありました。これは同じ学校と推察されます。また、体育の着替えを男女一緒に同室で行う学校が小学5年で14校、6年で11校、中学1,2年で各8校、3年で7校ありました。そして、児童生徒の名前を呼ぶ際、男女統一的に「さん」付けしている例が小学校で18校ありました。
そこで、男女共同参画基本計画が2000年12月に制定された際、本市では教育現場でどのように取り入れましたか。また先程具体例を挙げたような事例が本市ではなかったでしょうか。
以上お伺いをして第一問といたします。
《大江教育長 答弁》
議員ご指摘のとおり、中心市街地での児童数の減少や、隣接する2校間に児童数の大きな差があることも認識しております。
学校教育は、集団による教育が基本であり、教科学習はもちろん、運動会や文化祭などの学校行事やクラブ活動などにおいても、子どもたちの個性を伸ばし、社会性と生きる力を育てるためにも、一定規模の集団が大切であります。
今後、児童数が減少傾向にある中で、地域の子どもは地域で育て学ぶことができる環境づくりを基本として、通学区域の見直しをはじめ、学校間連携や統合を含め、幅広い視野に立って検討をする必要があると考えております。
平成12年に策定された男女共同参画基本計画にもとづき、男女共生教育を進めるためには、教育現場にある歴史的・社会的・文化的に作られた性差に気づき、職員研修を通して、男女共生教育の必要性を感じ取ることからスタートし、子どもたちに男女共生の意識を育てる実践をしていくことが大切だと思います。
その実現に向け、現在、初任者研修や新任教頭、新任教務主任を中心に研修会を実施しております。
また、教育環境の改善として具体的に男女混合名簿の実施を呼びかけ、平成15年度には全ての小学校で実施をしております。また、中学校では現在8校で実施しており、導入に向けて職員会議等で検討を重ねているところです。
なお、本市におきましては、男女同室着替えなどの不適切事例は報告されておりません。
《馬場教育局長 答弁》
市教育委員会での、子どもの放課後対策は、中学校では実施しておりませんが、小学校では、放課後子ども教室推進事業(あいあい教室)及び放課後児童健全育成事業(学童保育)の2事業を実施しています。
まず、あいあい教室では、子ども達が地域社会の中で、心豊かで健やかに育まれる環境づくりを推進することを目的に、現在、雑賀崎小学校はじめ9校において、あいあい教室を実施し、463人を受け入れています。
また、学童保育では、放課後に適切な遊びや生活の場を与えて、子ども達の健全な育成を図ることを目的に、現在、小学校42校、民間保育園13箇所と併せて、55箇所で学童保育を実施し、1,997人を受け入れています。
次に、障害児の受け入れ状況でありますが、あいあい教室では3人、学童保育では21人を受け入れています。
最後に障害児の対応等についてでありますが、あいあい教室及び学童保育では、集団行動ができることを、条件に、その障害の程度によって受け入れており、今後も、学校の施設や諸条件にもよりますが、障害児が放課後に、児童と活動を共にすることにより、障害児の健全育成となるよう努めてまいりたいと考えています。
《再質問》
それぞれご答弁をいただきましたので、再質問をさせていただきます。
まず、子ども達の放課後対策について。
保育所および小学校での、教育と福祉両面からの制度についてお示しいただきました。しかし、今の答弁の中から、中学生については空白地帯となっていることも分かりました。ぜひ、この中学生について空白を埋めるように要望したいと思います。中学生になれば必要ないと一般的に考えられるかも知れません。中学生になればしっかりしていると思われるかもしれません。しかし、中学生はまだまだ子どもだと中学生の子どもをお持ちの親御さんはおっしゃいます。ご対応いただけるようご配慮下さい。
また、障害児についても、福祉と教育の両面から支えていただけるよう、制度の拡充をお願いします。少しでも自立の助けになるようにと、親御さんたちは考えていらっしゃいます。折りしも、来月3日からは「障害者週間」が始まります。特にご配慮いただきますようお願いいたします。
次に、小学校の統廃合について。
私が先程指摘したことに対するご認識が当局にあるということは分かりました。さて、そこで具体的にどのように進められるのでしょうか。お考えをお示し下さい。
最後に、男女共同参画の政策について。
先にお示ししたような不適切な例は報告されていないというお答えでした。これについてはひとまず安心をいたしました。ただ、今後もそういう事例が発生しないよう、指導と確認をしていただきたいと思います。
と言いますのも、先程本市も則っているとお答えをいただいた国の男女共同参画基本計画が5年毎に見直しをされており、2005年に第2次基本計画が決定をされています。当初の基本計画の中に誤った考え方があり、その結果、教育現場での不適切な事例につながったとの反省から、大幅な見直しがされています。
第2次基本計画の中には、例えば、「ジェンダー・フリー」という用語を使用して、性差を否定したり、男らしさ女らしさや男女の区別をなくして、人間の中性化を目指すこと、また家族やひな祭り等の伝統文化を否定することは、国民が求める男女共同参画社会とは異なる。例えば、児童生徒の発達段階を踏まえない行き過ぎた性教育、男女同室着替え、男女同室宿泊、男女混合騎馬戦等の事例は極めて非常識である。また公共の施設におけるトイレの男女別色表示を同色にすることは、男女共同参画の趣旨から導き出されるものではない。これについて、広く国民に周知徹底する。とあります。
本市でも国の男女共同参画基本計画決定を受けて、和歌山市男女共生推進行動計画を策定されたと聞き及んでおりますが、第2次基本計画決定の後、本市の計画はどのように見直しをされましたか。具体的にお答え下さい。
またこのような流れを市長はご存知でしたでしょうか。あわせてお伺いし、再質問といたします。
《大橋市長 答弁》
和歌山市では、現在「和歌山市男女共生推進行動計画」に基づき、第3次事業実施計画を推進しているところでございます。
市の第3次「事業実施計画」策定にあたり、どのように見直したかとのご質問ですが、「第3次事業実施計画」は『行動計画』に基づく最終次の計画として、第1次・第2次計画からの施策を含めた総括的な推進を図ることとしており、実施計画の見直しは特に行っていません。しかし、本市の男女共生推進に係る諸問題についてご審議いただく「和歌山市男女共生推進懇話会」において、「ジェンダー・フリー」に関連するさまざまな誤解、特に他市の不適切な事例等を踏まえての議論が行われ、「和歌山市においては不適切な事例はないものの、今後もあらゆる機会を通して、正確な理解の浸透を図るため、広く周知・啓発の努力は必要である。」などのご意見等があり、その後の事業推進により充実を期しているところでございます。
また、このような流れを知っていたのかとのご質問ですが、平成12年に定められた第1次の「基本計画」後、「ジェンダー・フリー」に関する不適切な問題が発覚してきた状況の中で、平成17年に決定された「第2次基本計画」では、これまで使われていた「ジェンダー」から「社会的性別」として明記され、その視点についても明確な定義が示されています。これらの経緯とともに「第2次基本計画」の趣旨を理解し、すべての男性・女性の人権が尊重され、個性と能力が十分に発揮できる社会、喜びも責任も分かち合える和歌山市の男女共同参画社会の実現を目指して取り組んでいるところでございます。
《大江教育長 答弁》
小学校の統合や通学区域の見直しなどを進める上で、児童の学習環境を最優先に考える必要があり、そのためには、保護者や地域住民と十分に協議を重ね、通学の利便性や安全性を確保することはもとより、よりよき学べる環境づくりをしていかなければならないと考えております。教育委員会としましては、適正な規模、配置等について検討するため、平成20年度に有識者会議の設置に向け、取り組んでまいります。
《再々質問》
まず小学校の統廃合について、大江教育長からお答えを頂きました。
ぜひ早いうちに有識者会議を置いて動き出していただきたいと思います。やはり子どもも少ない人数よりはある程度の人数の中で揉まれる方が、しっかりとした人格形成が可能になると考えます。また武田信玄が言った「人は城、人は石垣、人は堀」という有名な言葉があります。まさに、「人づくりは街づくり、街づくりは国づくり」であると考えます。こんな話を大江教育長に申し上げたら逆に失礼かも知れません。ただ、私みたいな人間が29才にして市議会議員をさせていただけるのも、この和歌山で教育を受けたからだと自負しております。
とにかく、教育からの街づくりをしていただけるよう、また教育は決して合理化のものさしだけで計ってはならないと思います。予算など厳しい状況ではありますが、市長には特段のご配慮をお願いいたします。
次に男女共同参画の政策についてです。
本市では国からの基本計画を鵜呑みにすることなく、和歌山市に合った形での男女共同参画の形を検討されたとご答弁いただきました。このことは真の地方分権の姿であると思いますし、全国的な「ジェンダー・フリー」の流れに乗らなかったことで疑心暗鬼になられたり、試行錯誤されるなど、ご苦労があったことだと思います。今後も男女の区別と差別を混合したり、間違った男女共同参画の考え方が広がらないよう、実施計画の一層の推進をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
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