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2008年08月23日
ある紙面から

 8月15日号の週刊報道ワカヤマに次のような記事が掲載されていました。




和歌山市の観光PR、なぜよさこい? 「ぶんだらや和歌祭売り込むべき」

 明日16日から2日間にわたって和歌山公園とその周辺で開催される第5回紀州よさこい祭り。最近ではことあるイベントでよさこい踊りが披露される機会が多くなったが、本紙にこんな意見が届いた。

 「よさこい踊りの発祥は高知県。和歌山の伝統文化とは異なるもの。和歌山を県外にPRするイベントなどで紹介するのはいかがなものか」

 意見者は、和歌山市の事業・城フェスタの一環で6月14、15日に行われた将棋まつり「女流王座決定戦」の前夜祭と、市内で事前合宿(8月4-13日)を行った北京五輪に出場するフランスの陸上選手の歓迎レセプションで、それぞれ和歌山市をPRするために披露されたよさこい踊りに違和感を覚えたという。意見者は「こんな時こそぶんだら踊りを披露すべき。ぶんだらじやなくても和歌祭や木ノ本の獅子舞など和歌山市の伝統芸能はほかにもたくさんある」と指摘する。

 将棋まつりの前夜祭を担当した市観光課は「会場スペースの関係上、進行する踊りのぶんだらは適さなかった」と説明。仏選手歓迎レセプションを開いた市教委体育振興課は「直前まで黒潮太鼓の予定だったが、会場側に低音が響くので避けてほしいと言われよさこいに変更した。ぶんだらは選択肢になかった」と明かし、「結果的には選手らも一緒になって踊り、楽しんでくれたと思っている」と話す。

 「観光都市」を口にしながらその絶好の機会に売り込まなくてはならない独自文化をPRしない観光行政。それは消極的というより安易な姿勢であり、改めなければ場当たり的で効果の薄いものとなつてしまう。


 確かに「よさこい」の発祥は高知です。しかし同時に、日本各地でこの「よさこい」が行われているのも事実です。北海道では「よさこいソーラン」として定着しています。紀州よさこいもこれに並ぶ観客動員人数で、日本三大よさこいの一つと言っても過言ではありません。
 紀州よさこいは高知のよさこいがベースにあることは事実ですが、決して何もかも真似をしているのではありません。楽曲も『まりと殿様』やぶんだら踊りをアレンジした曲を使うチームもあります。祭りの中でも総踊り曲を用意し、総踊りを行っているのは紀州よさこいだけです。
 我々日本人はこれまで様々な外来文化を受け入れ、自分たちの文化にするべく醸成してきました。仏教や漢字、世の中の制度などあらゆるものを自分たちの生活や文化に取り入れてきました。当初は反対する人もいましたし、戦争にもなりましたが、今ではすっかり定着しています。
 たかだか5年の祭りですから、とても伝統文化とは言えません。その点ではぶんだら踊りも同じです。それでも、少しでも和歌山に根付かせたいと多くの人間が努力をしています。では意見者の方は、和歌山の伝統文化といわれる和歌祭や木ノ本の獅子舞などを残す努力を何かされているのでしょうか?傍観しているだけ、残せと口にするだけで動かなければ残るものも残りません。
 およそ37万1千人の人口の街で20万人の観客を動員する。それが他の祭りでできるでしょうか。伝統文化を否定するわけではありません。それぞれの良くも悪くもを知って、使えばいいのではないでしょうか。
 フランスの選手団に和歌祭や木ノ本の獅子舞などを見てもらえば「すごい」と思ってもらえるでしょうし、感動もしてもらえるでしょう。しかし「参加した」という感覚は得られません。関空からの近さ、よさこいの楽しさ、食のおいしさ、いくつもの要素が絡み合って、観光が成り立つと考えます。
 紀州よさこいを表に出すことが場当たり的な観光行政であると言い切るのなら、「和歌山市には観光行政は存在できない」と言えると思います。

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