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2008年11月15日
緑と歴史を残す取り組み

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 今日は埼玉県志木市へやってきました。おそらく日本で初めての、既存樹林を活かしたマンションの開発が行われ、その経緯を教えていただき、現状を見に来ました。
 このマンションは「志木ガーデンヒルズ」といい、慶應志木高校旧学生寮の跡地に建てられました。慶應義塾の先輩である松永安左ヱ門氏によって寄贈された敷地に、志木高校の前身となる慶應義塾農業高等学校が設置されたところから始まります。農業学校だったので多くの樹木が植えられていました。寮の取り壊しとともに、民間企業へ売却されマンションの建設計画が持ち上がりました。
 そもそもこの地には、幕府老中で上水道工事を取り仕切っていた川越藩主松平信綱が整備した野火止(のびどめ)用水があり、農業が盛んで多くの自然が残されていました。そのような歴史的経緯もあり、近隣の住民は旧寮跡地にある緑を守ろうと運動を開始しました。
 一般的にこのような運動では、住民の建設反対の意思と、業者の建設促進の意思がぶつかり合って、最終的にお互い妥協点を見つけるというものが多いと思います。ところがこの志木市の場合、近隣住民は最初から建設には反対しない、しかし緑は何とか残して欲しいという、今までにないケースだったのです。
 住民と業者、行政の三者がテーブルについて話し合いを重ねた結果、今までに例を見ない既存の樹木を伐採せずに残したままで活かしたマンションが建設されました。
 今回のフォーラムでは、緑を守る運動をした近隣住民だけでなく、建設した会社の方、志木市の当時の都市計画課の方、今マンションに住んでいる住民の方など、マンションを取り巻くあらゆる立場の方のお話を伺うことが出来ました。

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 このマンションのもう一つの特徴は、野火止用水に近い建設用地の一部を一般に開かれた公園として整備し、30年間志木市に無償貸与するというものです。そうすることで、この地にあった緑をマンションの住人だけが享受するのでなく、他の市民と共有することが出来るようになりました。左の写真がその場所です。近くにお住まいの方が散歩しておられます。これがきっかけとなって、マンション内外で思わぬ人間関係が形成できたと住民の方が話しておられました。
 フォーラムの後の懇親会にも参加させていただき、平場では言えない今だから言える本音の話なども聞かせていただくことが出来ました。
 都会に近いからこそ、あえて緑を残そう、それも由緒ある緑だからこそ一層次代にまで残したいと思われたのでしょう。和歌山は公の緑が多いからか、マンション建設などでは既存の緑が切られてしまい、あとから外から持ってきた植物が植えられます。
 普通に建設するよりは多くのお金はかかりますが、お金では買えないものが残せます。この方法が日本中に広まる日もそう遠くないと思います。

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