イエローカードと給付金

3連休の最終日はあいにくの雨となってしまいました。そして寒い。昨日までの2日間の天気が余りにも良すぎたのでその反動でしょうか。
さて今日は、そんな振替休日の一日ですが、政策のお話をさせていただこうと思います。
写真はまもなく皆さんのお手元に届く、市報わかやま12月号の特別号です。地方財政健全化法の本格施行に伴って、和歌山市の財政はイエローカードである「財政健全化団体」になる可能性があることを、ここでもお話をしました。
国からすべき仕事を決められ、それに必要なお金は必要なだけ下りてきます。しかし、それ以外の市が自由に使い道を決められるお金は年々減らされる一方です。権限と責任だけは渡されて、必要なお金は渡されない「なんちゃって地域主権」が進められています。
例えば、同じ和歌山の中でも、和歌山市と隣の海南市では、人口も違えば地の利も違い、それぞれの特徴があることはご理解いただけると思います。しかし、国はそういうことを一切無視して、一律画一的に色々なものを投げてきます。高度経済成長の時代は行け行けドンドンでそういうやり方が良かったのかもしれません。しかし今は時代が変わり、そういうやり方は好まれないようになりました。人の好みで政策を決めるわけではありませんが、明らかに効果より弊害の方が大きくなっています。
実は、この地方財政健全化法も官僚が作った一律画一的な政策の一つです。確かに夕張のようにはなりたくありません。しかし、和歌山には和歌山なりの事情もあります。例えば、法律で下水道を引くように決まった。これ自体も一律画一的ですが、その法律に従って一生懸命下水道を引いてきたら、今度は金がかかりすぎだといって指弾される。同じ国でも、国土交通省からは下水道で金を使えと言われ、総務省からは使いすぎでイエローカードだと言われる。私達市民はいつまでこの国の”多重人格”に付き合わされなければならないのでしょうか。
今月に入って麻生総理がぶち上げた「定額給付金」構想。一人1万2千円、18才以下と65歳以上の皆さんには8千円を上乗せして一人2万円を給付するというものです。
この「給付金」のために、2兆円の税金が全国民に薄く広くばら撒かれようとしています。和歌山市では約37万1千人の市民に約60億円が使われます。経済学者によっては、今回の給付金で、麻生総理の狙う緊急経済対策の効果は薄いと試算される方もいらっしゃいます。所得制限をかけるのかどうか決めるのも基礎自治体に投げて、堂々と「地方分権」と言い切ってしまう麻生総理の感覚には感心してしまいます。
このように、全国民に薄く広くばら撒くよりは、せっかくの税金をある程度選んで集中させることが大事ではないかと思います。例えば、介護職員の賃金上乗せに使ってはどうでしょうか。
全人口に対する65歳以上の方が占める割合を高齢化率といいますが、08年3月末現在の和歌山県の高齢化率は25.3%。4人に1人が65歳以上となってしまいました。和歌山市の高齢化率は23.5%と、確実に上昇しています。その一方で、仕事がきつい割には給料が安いということで、介護の職を離れる方も多くなっていて、お世話する方とされる方のバランスは悪くなっています。
そこで、介護職員さんの賃金上乗せにこの「給付金」を使えば、介護からの離職に少しは歯止めがかかり、新たな雇用を生むことも考えられます。雇用があれば、経済効果も生まれますし、お世話される方も今よりは良いサービスを受けられるようになるのではないでしょうか。
それ以前に、このお金を介護に使うのか、借金の返済に使うのか、その使い道を基礎自治体に決めさせるというのが本当の「地域主権」だと思いますが、皆さんはどう思われますか?
こっちでは締め上げて、そっちではばら撒く。塩爺こと塩川正十郎元蔵相が「母屋ではおかゆ、離れではすき焼き」と例えられていましたが、まさにその状況がここにあります。麻生総理は思いつきで言って、引くに引けなくなってるのでしょうが、勇気を持って撤退することも必要だと思います。皆さんはどのようにお感じになってらっしゃるでしょうか。
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