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2009年05月29日
議員定数と議員報酬

 今日マスコミから取材を受けました。議員定数と議員報酬についてです。まずは発端となった出来事を記した記事をご覧下さい。

和歌山市自治会連絡協:市議の定数削減を 議長に要望書を提出/和歌山

 和歌山市自治会連絡協議会は25日、市議の条例定数(40人)の削減を求める要望書を、遠藤富士雄議長に提出した。要望書は「行財政改革に取り組む本市では、大幅な削減は民意であり、実施する意義は大きい」と主張。市内42地区の連合自治会長全員の署名を添えた。
 連絡協の杉山清一会長(65)によると、先月から3回の会議を重ね、総意として提出を決めた。次回市議選までに定数削減と議員報酬カットを実現するよう求めた。杉山会長は「市議が何をやっているのかが住民に見えない。以前から削減を進めているのは分かるが、自ら進んで努力してほしい」と話した。遠藤議長は「少数意見の反映も大切だ。極端に減らして、地域に密着した仕事ができるかどうか。検討します」と述べた。
 市議は現在39人。議会事務局によると、条例定数は40人で、法定上限より6人少ない。定数削減の条例改正は82年以降4回あり、07年には定数を2人減らした。【安藤龍朗】
毎日新聞 5月26日朝刊

 さて、ここからは私の意見です。
 まず議員定数の削減ですが、生活者が望むなら10でも20でもいいと思います。ただ、そこまで減らした後、本当に生活者の声を市議会が受けきれるか。声が大きい人の意見ばかりが通ってしまうのではないか。また、不都合が出て、再び増加させた場合に、誰が責任を取るのかという問題があると思います。不都合が出て、生活者が割を食ったと言う点で、責任を取ったという考え方もできます。
 私は個人的に生活者1万人に議員1人が適正ではないかと思っています。しかし、本当に議員一人が1万人の声を聞き切れるかといえば、かなりしんどいと思います。そういう意味では、生活者5千人に議員1人でもいいのではないかと思いますが、これは感覚的なもので、はっきりとした根拠はありません。
 次に議員報酬のカットですが、現在和歌山市議会議員の報酬は66万円となっています。この数字は市報わかやまなどで公表されていますので、隠すつもりはありません。そこから所得税、住民税、会派の維持費などを差し引かれて、手取りで約46万円です。これ以外にも国民健康保険料、国民年金保険料の支出があります。
 私の場合、両親と妹の4人暮らしですが、報酬の一部は生活費に充てられます。後援会活動にもお金が要りますし、次の選挙に向けた資金も置いておかなくてはなりません。住まいは親の持ち家なので、家賃は要りませんが、結婚して居を構えるとなるとまた費用が要ります。正直、今でトントンです。
 私の場合は「職業政治家」ですから、議員報酬が収入の全てです。中には本職と兼業してらっしゃる方もいます。その場合は余裕があるかもしれませんが、私にはありません。兼職が良いか悪いかは、私には判断が付きません。しかし、私にとっては議員の仕事でめいっぱいです。

 今回の和歌山市自治会連絡協議会からの要望について、いくつか申し述べたいことがあります。
 まず、議員定数の削減を主張するなら、何議席にすべきなのか、根拠も含めて示すべきだと思います。政策形成や制度設計の際、「~する、なぜなら~だから」と言うのが基本です。ですから、和歌山市自治会連絡協議会には「市議会は〇〇議席にすべき、なぜなら~だから」と政策提案をしていただきたいと思います。これは議員報酬についても同じです。
 また、議員の大幅な削減は本当に「民意」なのかどうか。「民意」とは一体どこにあるのでしょうか。和歌山市自治会連絡協議会は「民意」の一部ではありますが、「民意」の全てではありません。「民意」が非常にあやふやです。
 和歌山市自治会連絡協議会は「市議が何をやっているのかが住民に見えない。」とおっしゃっておられます。「見えない」のと「見てない」の落差はとても大きいと思います。市議会は委員会も含めて、全ての会議が公開されています。協議会の皆さんは、年4回行われる議会のうち、何日傍聴にいらっしゃってるのでしょうか?
 また、和歌山市自治会連絡協議会の皆さんが求める「見える」市議会議員の仕事ってどういったものなのでしょうか?”理想”の「見える」市議会議員の仕事、議員像を示すべきだと思います。
 私も委員として入って作成している「市議会だより」。市議会だよりがどういう手段で生活者の下に配られ、年に何回発行されているのかすら知らなかった協議会のメンバーもいたと聞いております。
 2年前の選挙では投票率が48.32%、有権者の2人に1人も選挙に行っていないのです。選ばれるべき政治家の方に、魅力がないとか、問題点があるかもしれません。それなら白票を投じればいいのに、投票にすら行っていない、権利を自ら捨ててしまっている状況です。
 先日読んだ北海道大学の山口次郎先生の著書にあった文章を少し引用させていただきます。

権利の上に眠るなかれ

 近代の民主主義社会では、様々な権利が保障されている。しかし、権利を持っているだけで、それを使おうとしなければ、権利そのものが消滅してしまうという仕組みもある。たとえば、民法に時効という制度がある。あなたが友達に金を貸したとしよう。あなたはその友人に対して債権を持つ。つまり、期限がきたら金を返せと要求できる権利を持つ。しかし、その友達が借金を返さず、あなたもそれを放置して、返せという意思表示をしないまま十年が過ぎると、債権は消滅してしまう。つまり、あなたは借金を返せと言う権利を失い、友人は借金を返さなくてもよくなる。踏み倒しが合法的に許されるのである。この制度を時効という。もちろん、貸した側が返せと言いさえすれば時効は中断され、時効の時計はまたゼロに戻る。
 とはいえ、借りたものは返すのが当然であり、借金をした側が長い間だんまりを決め込んでいたら、借金が帳消しになるというのは不当な話のように思える。
 この点について、政治学者丸山眞男は次のように説明している。
 時効制度には、「権利の上に長く眠っている者は民法の保護に値しない」という趣旨が含まれている。「請求するという行為によつて時効を中断しない限り、たんに債権者であるという位置に安住していると、ついには債権を喪失するというロジックのなかには、一民法の法理にとどまらないきわめて重大な意味がひそんでいる」と丸山は言う。日本国憲法第12条には、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」と書かれている。債権者が請求という行為を怠っていれば、金を返してもらえなくなるのと同じように、主権者も権利を行使する、政治に参加するという行為を怠っていれば、政治に対する発言権も決定権も失うという警告を、この条文は発しているのである。

(山口次郎著 『若者のための政治マニュアル』講談社現代新書 P142~P144)

 私達は知らず知らずのうちに投票権だけでなく、あらゆる権利を捨ててしまっているです。ですから、投票率が100%か、限りなくそれに近づけば、その民意に従いたいと思います。また、そうでなければならないとも思います。
 今回、私がこのようなことを書いたことで、和歌山市自治会連絡協議会の全員を敵に回したと思います。当然、その覚悟をした上で書いています。私は市議会議員の仕事を命懸けでやっています。私は2660.581票をいただき、選んでいただいた議員の一人です。言うべきことは言わなければならない、そのようにも思っています。
 こんなことを書けば、ネット上で晒されるかもしれないですし、異論・反論をお受けすることになります。喜んでお受けします。徹底的に議論しましょう!ご意見をお待ちしています。

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