年金と生活保護
40年間、年金納めて月額6万6000円の支給
一度も年金納めずに生活保護で月額約10万円の支給
人の最低生活を保障する《生活保護》。病気で働けない、高齢化で身寄りもなく働く場所もない人達にとっては本当に《弱者に優しい》日本の制度だ。
最近では、生活保護に占める行政負担も増えたが、行政は、《公平・公正》の立場で、この素晴らしい制度を永遠に残していかなくてはいけない。
しかし現実の社会では、保護申請が認められず自殺などという悲しいニュースも目にする。こんなことはあってはならない。
本紙は、3月26日付FAX配信で増え続ける生活保護について和歌山市の現状を記事にした。
この時、高齢者の場合についても触れた。その時、不思議に感じたのが《生活保護と年金者》の関係だ。『年金生活者より、生活保護を受けている人がいい生活をしている』という声も聞かれるからだ。実際はどうなのか、調べてみた。
【生活保護】 《老人一人暮らしの場合》(60歳~69歳)
◇月額約10万円(住宅費含む)
和歌山市の国民年金課が発行する「絵でみる国民年金ハンドブック」(平成20年度版)を見てみた。ここに書かれていたのが、
【年金生活】 《40年間保険料を収めた場合の満額》
◇年額79万2100円(月額約6万6千円)
もちろん、25年間以上納めていても年金の支払い月数が四十年間満たない場合、これよりさらに低い支給額となる。
国民年金は平成28年度まで年々引き上げられ、同29年4月から1万6900円で固定される見通しだ。これは、国の見通しでこの先、どうなることやら…。
生活保護課では、「年金をもらっていても生活に不足する分は、チェックし、補助する体制が出来ている」と、言い切る。
しかし、本紙は現実にはパーフェクトだとは思わない。その証拠に生活保護を打ち切られ命を断つ人もあとをたたない日本の悲しい現実があるからだ。本当にチェックは完全なのかという疑問も持たせる。
そしてもうひとつ、本紙は、「義務を果たすから権利も生じる」との考え方だ。生活保護を受ければ当然、医療費もタダ。安心して生活が送れる。先程も書いたが、《生活保護制度》そのものは素晴らしい。
しかし、年金を一度も払わない人と、40年聞払い続けた人が、究極の生活に追い込まれた時、同じスタートラインに立つというのはいかがなものか。
読者のみなさんには、もう一度、生活保護者と年金者の収入を見ていただきたい。これが日本の平等なのか…。
高齢化が進み、年金だけでは生活出来ない人が増え、自治体の財政負担も膨らむ。生活保護の場合、行政のチェックが行き届くというのは基本だ。
「生活保護を受けながらパチンコ通い」なんて噂も耳にする。これでは、年金を払い続けていた人達は、たまったものではない。
高齢者の中には、「自分の生活は自分で…」と、生活を切りつめ年金生活を続けている高齢者はどれだけいるだうか。「生活保護で1万円増えるだけなら、生活切り詰め、役所の世話にはならない」と、頑張り続ける老人も多いことだろう。
日本の《最低限の生活保障制度》は評価する。しかし、年金を払わない人、払い続けた人が同じ、いや現実は払い続けた人が苦労している現実が、行政が言い続ける《公平・公正》なのだろうか。
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