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2010年03月04日
2010年2月議会の一般質問全文

 今日の質問の議事録を記します。なお、これは原稿ベースで、速報版です。実際の議事録は若干異なることをお含み置きください。正規は後に発行される議事録に拠ります。

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《質問》

 民主クラブの山本忠相です。今回は行財政改革についてお伺いします。
 さて、少子高齢化と言われて久しい今日ですが、研究者の層では人口減少社会に突入したと見る向きもあるようです。
 市報わかやまには、毎月市の人口が掲載されています。3月号には2月1日現在の人口が掲載されていましたが369,889人、2009年4月以来の37万人割れとなってしまいました。
 人口の減少は財源の縮小をもたらします。これから審議をする平成22年度予算においても、一般会計で1347億円余りと前年度比3.6%の微増となっています。しかし、不況による企業業績の悪化や失業などで家計における収入が減り、結果として税収減から自主財源の割合がギリギリ5割の50.4%になる見通しです。
 市債残高も増加しつつあり、財源も大変厳しくなっているのは周知の通りです。そんな中でも多くの事業を行っておられますが、しかし、やりたいことを何でもかんでもできるような状態にはないと思います。優先順位をつけて、今何をすべきかを選択していかなければなりません。
 そこで、各事業を、効果がどれだけ出ているのか評価する必要が出てくるのですが、現在市においては各事業をどのように評価しているか。この点をお伺いして、第1問といたします。

《笠野総務局長 答弁》

 本市では、平成14年度より、事務事業の見直し、改善を進めるため、行政評価制度を導入しています。これは、各事業の執行にあたり改善を意識し、事業を効果的・効率的に進めるためのものです。
 また、平成21年度からは、長期総合計画を着実に推進するため、これまでの事務事業を中心としたものから、一段高い視点での施策を中心とした評価に移行した、新たな行政評価制度に取り組んでいるところです。
 新たな行政評価は、各担当課において、市民サービスの向上と事務の効率化を念頭に、自らの事業を見つめ直し、改善等へつなげるために事務事業の評価を行ったものを、施策ごとに部長が中心となって評価し、さらに外部識者や公募の市民からなる行政評価委員会による外部評価の3段階の評価を行い、それぞれの結果に基づいて業務の見直し、改善を行うものです。
 特に、部長による施策評価は、長期総合計画を効果的に進める視点から、施策に属する事務事業のうち、重点的に取り組むべきものを区分付けするなど、予算配分の参考になるものとしております。
 一方で、サマーレビューによる事業の見直しを行っているほか、限られた財源を基に、施策を着実に進められるよう、各局が主体性を持って、効果的な予算を組み立てて要求を行うこととしました。
 このように本市では、財政状況が厳しさを増す中においても、行政評価を用いて、常に見直しを行い、効果的な財源配分・事業執行に努めているところです。

《再質問》

 それぞれお答えをいただきましたので、第2問に入らせていただきます。
 平成14年度から行政評価制度を導入し、今年度からは長期総合計画を推進するのに併せて、さらに評価制度を進化させたというお答えでした。行政評価委員会も設置して、外部審査もされているともお答えいただきました。
 しかし、全体として内向きの感じが否めません。行政評価委員は全部で7名いらっしゃいますが、公募で選ばれているのは2名であり、残り5名は市から依頼をしてお願いしている方です。市からお願いした方なので、耳に痛いことを言わないとは思っていませんが、委員からどんな質問があり、当局はどう答えたのか。どういう議論があって導き出された結果なのかが、見えてこないのが現状です。それはなぜかといえば、非公開で行なわれているからです。
 そこで、今回私は、いわゆる「事業仕分け」をやってみませんか、と提案したいのです。
 事業仕分けと聞くと、ある女性議員が官僚に向かって捲くし立てているというイメージがありますが、国の場合と自治体の場合で、やり方が若干異なります。また、元々の提唱者である構想日本というシンクタンクのやり方があります。ですので、テレビで流れた国の事業仕分けのイメージを一度捨てていただいて、事業仕分けとは何ぞやということをご説明させていただきたいと思います。
 まず現在ある事業について、そもそも必要なのかどうかを判別します。不要か必要かは、この事業がなくなっても問題はないのか、そして目的達成のための手段になっているかどうかを判別します。
 この中で必要と認められたものについては、今度「誰がやるべきなのか」を判別します。行政がやるべきなのか、民間がやるべきかを判別します。税金を使ってまで実施する必要のある事業なのかどうか、また行政と民間の両方が行っても、一律のサービスを提供する必要があるのかどうかを判別します。
 その次に実施主体として国と自治体のどちらがやるかを決めます。自治体に仕分けられたものは、都道府県と市町村のどちらで行うかを決めます。市町村でできないことなのかどうか、サービスの範囲はどの規模がもっとも効果的効率的なのかということも、そこで判別します。
 そして、例えば和歌山市でやるべきだとなった事業の場合には、引き続き今のやり方でいいのか、事業規模はこれ以上大きくしない方がいいのか、もっと大きくすべきなのかということも、最後の段階で判断することになります。
 また、事業仕分けは5つのルールがあります。1つ目は外部の目で見分けるということ。2つ目に公開の場で議論をするということが必要になります。3つ目に、現在の制度がどうかということは一旦脇に置き、事業の必要性や実施主体が合っているかということを「そもそも論」から考えてみること。4つ目に、事業の名前ではなく、具体的な事業内容で考えること。例えば、中小企業支援とか青少年育成とかということ自体を否定する人はいないのですが、実際に何をしているかを聞けば、評価は分かれると思います。そして、事業仕分けはコンサル業務ではありません。
 この5つのルールで事業仕分けは動きます。こういうやり方で事業仕分けは行なわれるのです。
 私は昨年7月に神奈川県藤沢市で行われた事業仕分けを傍聴しましたが、3つの部屋で分かれて仕分けされたにもかかわらず、どの部屋も傍聴席はいっぱいで立ち見が出ていました。それだけ市民の関心は高いのです。
 また先進的に実施している滋賀県高島市は、2005年に1回目を実施、この時は構想日本のチームが全てを行ったそうです。翌2006年はコーディネーターのみ構想日本から派遣し、仕分け人は全て市民で。明くる2007年以降は全て市民が行い、行財政改革と市民参画の両面を両立させたそうです。今では事業仕分けが市民に定着し、市民は行政に対して受身から能動的に変化したそうです。
 私は、これまでの市で行われている行政評価がダメだと言っているわけではありません。今までのやり方をもっと進化させて、市民にも公開された場で、前例踏襲主義に囚われず、ゼロベースから見直してみるのが良いのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。見解をお伺いします。
 公開の場でやることにどんな意味があるのか。それはたくさんある市の事業について、その中身を理解してもらうこと。また、本市においては、都市計画税や下水道使用料の値上げなどがあり、かなりの負担が市民にあります。一方で長期の経済不況により家計は苦しくなるばかり。そんな時、市民から聞こえてくるのは「公務員は仕事をしない、その割に高い給料をもらっている」という声です。実際は、そうではないということは分かっているのですが、そういうイメージが先行している。
 そこで公開の場でやれば、決して職員は遊んでいるわけでもないし、必要なことをちゃんと仕分けてやっているということを市民に示せるのではないでしょうか。同時に公開の場で、事業毎の達成率を示しながら事業を評価することが必要ではないかと思います。そのことで「役所はここまでやってくれているんだ」ということが市民に伝わる。それが職員の達成感につながり、士気も上がる。ひいてはこれが職員と市民の信頼関係を築くきっかけになると思うのです。
 職員と市民の信頼関係を築くという点でもう一つ。和歌山市は「気くばり市役所」を掲げられています。しかし、本当に「気くばり市役所」になりきれているかという点です。
 例えば、税や国保保険料、上下水道料金などの滞納者に対して、払ってもらうことだけに注力していないか、ということです。
 先日、総務委員会の視察で盛岡市を訪れました。税滞納対策という名目で参りましたが、そこには税滞納対策をはるかに超えるものがありました。
「多重債務問題に強いまち 盛岡」を掲げて、市が消費生活センターやNPOいわて生活者サポートセンターと協働し、「盛岡市ほほえみと太陽のプロジェクト」を実施しています。
 このプロジェクトの中には、多重債務者包括支援プログラムと、くらしとお金の安心支援事業があります。簡単にまとめますと、税や保険料、給食費などを滞納する人には滞納する理由がある。まずその原因を突き止め、それが借金ならば法律家と共に債務整理を行う。借金はないが失業やDV、病気などが原因の生活困窮者もいる。
 そんな生活が不安定な市民に対して、一元化された相談窓口を設けています。市民にとって相談窓口が分かりやすいだけでなく、たらいまわしを解消し、公益扶助制度やセーフティーネット貸付の手続きが一箇所でできます。そして、市民の相談に乗るだけでなく、生活再建ができるまで寄り添い、解決への道筋をつけるというシステムがありました。
 本市ではそこまで市民に寄り添えているでしょうか。それぞれの窓口での親切な指導体制が構築されているでしょうか。生活保護の窓口でも、生活建て直しのための相談が行き届いているでしょうか。福祉関係では、○か×かの判断だけでなく、ダメでもこういう方法もありますよというアドバイスができないでしょうか。
 そんな窓口体制が職員と市民との信頼関係を築くきっかけになると思います。この点について、どのようにお考えか、お伺いして、第2問といたします。

《大橋市長 答弁》

 本市の行政評価は、各部局において全ての事務事業について自ら評価を行い、見直し、改善を行うとともに、外部の視点からチェックするため、行政評価委員会による外部評価を行っています。議論の場を公開していないこと、多数決ではなく委員の総意により判定を行い、参考として様々な意見を添えているところなど、違いはありますが「事業仕分け」と同様の取組を行っています。
 この行政評価委員会は、和歌山市をよく知る企業経営経験者、学識経験者や公募の委員で構成され、地域の実情を十分に踏まえた上で、事業の「必要性」や「実施主体の再検討」、「経費の節減」等に関しての厳しいご意見をいただいています。
 例えば、「青年の家」や「発明館」などの廃止、「共同調理場」などの業務委託の推進、また、「養護老人ホーム白菊寮」や「かつらぎ園」の民営化による、実施主体の見直し等、いただいた意見をもとに、大規模な見直しも行い、十分な効果が出ているところです。
 併せて、その意見等については、毎年、行政評価報告書及び意見書として市のホームページなどで公開しているところです。
 同時に、サマーレビューにおきましても、事業の必要性や実施主体、経費節減等について、厳しい議論を重ねた結果、「外国出張旅費支度料」「社会福祉会館の貸館業務」の廃止や「SOHO事業」の見直し等の成果を上げています。
 議員ご提案の「事業仕分け」は、大きな利点もありますが、断片的に判断されがちであるなど、様々な問題点も考えられることから、今後、他都市の実施状況等も見極め、導入の可否について判断したいと考えています。
 今後も将来の和歌山市像を見据えた改革ができるよう、行政評価制度の更なる充実を図り、予算編成や行財政改革とも連携し、財源、資産、人員の行政資源の適正配分を行い、効果的で効率的な行政運営に努めていきたいと考えています。
 本市では、市民の方々が様々な用件や相談にお越しになった際に、その場で分かるようなものはでき得る限りお答えし、アドバイスをするようにしています。
また、以前に比べまして、市民から「窓口の対応が良かった。」「電話での対応が分かりやすかった。」等のお褒めの言葉も増えています。
 しかし、相談内容等が専門的且つ多岐にわたることもあるため、相談内容によっては、適切に回答できる部署にご案内するようにし、また、迷われているようなときには、積極的に声を掛け、内容をお聞きした上で、関係する部署まで案内をするとともに、概略の引継ぎを行うなどの対応をしているところです。
 この年度末から年度当初にかけても、「春の引越しこども窓口」の開設や、新年度より、こどもに関する相談支援について、福祉、教育の垣根を越え、より密度の高い対応が行える体制を構築し、また、生活保護課を生活支援課に改編し、就労、健康管理等、自立に向けた支援の強化を図ることとしています。
 これからも市民の声に耳を傾け、市民に分かりやすい、また、利用しやすい窓口体制と気配り市役所の実現を目指して、さらに市民との信頼関係の構築に取り組んでまいります。

《再々質問》

 それぞれお答えいただきましたので、第3問に入らせていただきます。
 事業仕分けの実施を提案させていただいたのですが、「今後他都市の事業仕分けの状況等を研究してまいりたい」とのお答えでした。「今年度中に実施します」とサクッとお答えいただけるのかと期待していました。「事業仕分けはすでにやっているところもあるので、わが市では同様の効果があるサマーレビューを公開します」と言っていただければ、1日に市長が施政方針で謳われた「信頼される市政運営をひたむきに推進」するための一助になるのではないかと思ったのですが、温度差があるようです。
 窓口対応については、色々とご努力をいただいているようです。しかし、窓口で怒鳴り散らしている人を見かけるのも、また事実です。中には理不尽な内容をおっしゃっている方もいますが、当たり前のことをおっしゃる方もいて、私も見かけたときには何をおっしゃっているのか、耳を傾けています。
 新年度から組織改編で生活保護課が自立支援を含めた課に変わるとお答えをいただきました。様々なことが絡み合った事案が、いくつも持ち込まれると思います。盛岡市のように、決してあきらめず見捨てることなく、市民に寄り添えるかが鍵になると思います。信頼される市政のために、ご尽力いただけるようお願いして、私の一般質問を終わります。

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