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 この「明日はどっちだ!?」のコーナーでは、山本ただすけの時事問題に対する考えや、政策などについてお話させていただきます。皆様のご意見やご感想をお待ちしています。
なお、文字が赤くなっているところは、リンクになっています。そちらもぜひおいでください。

 「明日はどっちだ!?」の命名についてお話させていただきます。
 政治家や政治に携わる人間は、常に様々な判断が付きまとい、また常にそれを求められます。右か左か、進むのか退くのか、その判断如何によっては、多くの方々の幸せをも左右しかねません。明日はどっちへ行くのか、まさにそのことを名前にさせていただきました。
 

2010年06月08日
夕張からのメール

 今日も活動はしていますが、少し皆さんに知っていただきたいことがあり、書かせていただきます。
 私はメルマガをあまり購読していないのですが、数少ない自分から進んで登録したものの一つに、行革の勉強会などでよくお世話になる前 佐賀市長の木下敏之先生が発行されている『夕張市立総合病院を引き継いだ「夕張希望の杜」の毎日』があります。
 なぜ、これを取り上げるかというと、夕張市立診療所が自殺を図った男性の救急受け入れを断ったと、6月2日付けの新聞で報道されたからです。


夕張市立診療所:自殺図った男性の救急受け入れ拒否 「外来に対応」/北海道

 夕張市は1日、市立診療所が先月、自殺を図り心肺停止状態になった市内の50代男性の救急受け入れを断っていたと発表した。昨年9月にも同様のケースがあり、市は同診療所の村上智彦医師から事情を聴いた。
 市の説明では、5月19日午前8時前、「首をつり、自殺を図った男性がいる」という119番通報があった。救急隊員が駆けつけると、男性は心肺停止状態で、診療所に受け入れ要請したが、外来患者診療のため、対応不可能として断られたという。男性は市内の別の医療機関で死亡が確認されたという。
 村上医師は「首つりと聞いて検案(死亡確認)のケースと判断した。緊急性が低く、自分は外来もあったため、他の医療機関で対応してもらいたいと伝えた」と話している。
 同診療所は昨年9月27日夜、同様に首をつった状態で見つかった男子中学生の受け入れを断った。市と診療所は、二度と同じような事態が起きないようホットラインを設けるなどしている。藤倉肇市長は「誠に遺憾という思い。市立診療所の開設者として総括が必要だ」と話した。【吉田競】

毎日新聞6月2日朝刊

 記事を見たとき、「これは何かあるな」と思っていたのですが、昨日メルマガの臨時号として、この記事に対する村上智彦医師の反論が配信されましたので、ご覧になって下さい。


救急搬送拒否報道に対する反論  村上智彦

 6月2日の北海道新聞で夕張医療センターが救急搬送を断って、後日それに対して市長が遺憾の意を表明した件ついて、私なりに説明させていただきます。

 まず、今回の報道では私自身は一切取材を受けていません。
 北海道新聞の記者に確認したところ、「取材を申し込んだが事務で断られたので、市に取材してそれを書いただけ」との答えでした。
 つまり内容を検証したり、事実確認をしないで報道して、他のマスコミも同様に報道しています。
 夕張医療センターの常勤医は私一人ですので、確かに取材を受ける時間は限られていますが、私は来た取材を拒否した事はなく、時間があれば受けるようにしています。
 市長さんの会見も、会見前には私に一切の話はなく、会見後に事情を聴きに来ています。その席でも
「1人で受けられない事は分かるが、重症者は受けてほしい」
「以前には受けると言った」
「他には受けた事もあるのだから受けれたはずだ」等 
総務課長を筆頭にどう考えても意図的なものを感じてしまいます。
 1人で365日24時間重症者を受ける事は不可能ですし、診療所ですから時間外に検査等も出来ないし、人も少ない状況です。
 夕張市には医療機関は5か所あり、全て診療所ですので重症の方は周辺の医療機関に搬送します。
 救急車で隣町の栗山赤十字病院まで20分位、岩見沢市立総合病院まで30~40分、札幌まで1時間と、夕張市が陸の孤島という訳ではありませんし、周囲の医療機関もとても協力的で受け入れて下さっています。後は市がどう連携するかの問題だと思います。

 夕張医療センターは公設民営方式で私達が指定管理者として運営していますが、そもそも契約上は有床診療所と老人保健施設の維持・運営を委託されていますが、救急医療や在宅医療は契約には入っていないのが事実ですし、それを決めたのも夕張市です。
 その事についても以前から「市の責任として救急体制を考えて、指定管理の契約も見直して充分な予算を取ってやってほしい」と要望していました。
 4月から夕張医療センターは医師1人体制になっています。診療所ですから珍しい事ではありませんし、運営上必要な事でした。
 しかし、19床の入院病床を持ち、120軒の在宅医療、110床の特別養護老人ホームや複数のグループホームの嘱託医、かかりつけ患者や観光客の時間外対応等をやっていますので、重症の救急患者の受け入れは物理的に無理な状態です。(完全に労働基準法違反になります。)
 実際4月からの2ヶ月間、講演等で外に出る週末以外は毎日1人で当直していますので、買い物にも不自由する状態で、夕張から出られない状況が当面は続きます。
 その事は1人体制となる4月以前に市長や市の担当者の方に話をしてありますし、4月に医師会、救急隊、行政が参加して実施された救急医療の会議でも説明し、皆さんが認識していました。

 救急医療は営業的には不採算な部門です。
 以前の夕張市の救急の予算は年間120万円程で、その予算も人件費等で消えていて、医療センターには一銭も入っていない状況ですが、「財政再建団体だから確保出来ない」と言われています。
 しかし、夕張市財政再生計画では市営住宅の建て替えなどには数十億の予算が計上されていますから、予算が無いのではなくて私の目からみますと「夕張市の救急医療に対する優先順位が低かった」としか思えません。
 そんな中でボランティアでも可能な限り救急を受けていましたし、時間外にも対応していたのですが、ここの施設では受けられないと判断して後方病院への搬送を指示すると「拒否した」と言われてしまいます。
 以前は救急指定病院で総合病院だったかもしれませんが、今は医師1人体制の診療所ですから、主たる機能は時間内の外来や在宅医療、老人保健施設の運営や地域包括ケアです。
 そして、その総合病院を破綻させたのは私ではありません。
心肺停止状態(CPA)になる様な病気は心筋梗塞や脳卒中が代表ですが、夕張市の様に周囲に専門病院がある場合そこへ出来るだけ早く搬送するのが大切だと私は思っています。
 また、今回の様に自殺である場合、これは病気ではなく、殆どの場合死亡診断ではなく検案になりますので、医療より警察の問題になる事が多いと思います。
 また市の自殺対策等が大切ですので、昨年の9月の中学生の自殺の時に、その事を市にも要望していましたが、マスコミも含めて今日まで何もしていなかったのが現状です。
 いくら救急を充実させても自殺は減らせませんし、これこそ問題のすり替えだと思います。
 昨年の中学生の自殺の時に「自分の判断ミスを認めて謝罪した」と言われていますが、これは夕張の朝日新聞の記者が「そう言わないとお前は出ていく事になるぞ!」等と何度も電話をかけてきて無理やり記事にした事です。
 私自身は「若い方なのでヘリを呼んででも高度な医療が出来る施設に搬送すべきだ」と判断して、後方病院への搬送を指示したのが実際のところです。
 要するに市や夕張市のマスコミも総合病院時代の時代の対応をしないと批判し、予算は出さないけど口は出し、責任は取りたくないというのが本音だと思いますが、このやり方は破綻した時のやり方ではないでしょうか。
 私は同じ過ちを繰り返したくないので、今後も以前の悲惨な状況に戻す努力はしたくはありません。
 この事で夕張市の医療がまた破綻しても誰も責任を取らないので、とても無責任だと思いますし、そうやって医療崩壊が助長されてきたと思っています。

 私達は民間の法人ですから今回の件で風評被害が出た場合には、夕張市の雇用を守るためにも法的手段に出るつもりです。報道する側にも責任がある事だと思います。
 夕張へ来てからこの様な対応はいつもの事ですが、それでもこの3年間で真面目に通院して生活習慣を改善して検診を受ける患者さんや、在宅で家族を支える様な方がとても増えました。必要のない救急車の使用も激減しています。
 安月給でも文句も言わずに地元の為に働く職員も増えて、批判して投げ出す事も無く医師1人体制の医療センターを支えてくれています。救急隊も私への負担を考えてトリアージをして搬送先を考えてくれるようになりました。
 市役所も真剣に再生の為に働く若い職員がいて、保健福祉分野の担当者も以前に比べたらとても頑張っていて、医療センターに足を運んでくれるようになりました。

 そんな人達は「気にしないで頑張って下さい」「分かっていますから」と声をかけてくれて、高齢者施設の責任者の方も気にして、先日わざわざ励ましに来て下さいました。ありがたい事ですし、感謝するしかありません。
 問題なのは破綻させた事に責任がある立場の人達が、また以前のやり方に拘っていて、マスコミと一緒になって誰かのせいにしている事です。
 いつもより長くなりましたが、これが現時点での私の意見です。

 夕張へ来てから全く同じ考えでやっていますし、今後も変える事はありません。今後も破綻を受け入れて自ら立ち上がって夕張で頑張る人達を支えていくつもりです。


 またJBpress社のサイトにて村上先生の別の原稿も公開されました。
 未だにこんなことがあるのかという感じです。民主党のことでも色々ありましたが、それと同じ構図だと思います。
 「そう言わないとお前は出ていく事になるぞ!」なんてのは、マスコミの力を利用した脅迫強要です。ひどすぎます。
 直接村上先生からお話を伺ったこともありますが、本当にご苦労されています。破綻した夕張の医療の灯を消してはならないと、試行錯誤されています。そういう人を、どうして無意味に、自己満足のために、叩き潰そうとするのでしょうか。
 一人でも多くの方に真実を知っていただきたいと思い、メルマガを転載しました。

 
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