介護保険の権限委譲がやってくる
市議会は、今日から各常任委員会での、新年度予算の審査に入りました。
私の所属する厚生委員会では、健康福祉局の予算を審査しました。健康福祉局は例えば、生活保護や介護保険、子育てや保健所に関することなどが対象になります。
予算では一般会計のうち福祉保健衛生に関するもの、母子寡婦福祉資金貸付事業特別会計、介護保険特別会計、後期高齢者医療特別会計が審査の対象です。また、自治体への権限委譲を行う第2次地方分権一括法に基づき、県からいくつかの業種の監督権限が移されたため、それに必要な条例を制定するものもあります。
今回はクリーニング業・理容師(散髪屋さん)・美容師・興行場(映画館や劇場など)・公衆浴場について施行条例が作られ、旅館業については一部が改正されます。
また4月からは介護保険の制度改正に伴い、審査などの権限が県から市へ移されます。介護保険自体、「施設から居宅へ」という理念に変わり、サービスの新設や介護報酬の変更などが行われます。
例えば、医療と介護の連携を強化する点。地域包括ケアシステムといって、日常の生活圏域(30分程度で駆けつけられる範囲)に介護・医療・生活支援・予防・住まいを集約しようとするもの。24時間巡回・随時対応サービスの創設。サービス付き高齢者住宅の整備や居宅介護と訪問介護を合わせた複合型サービスの創設などがあります。
このように様々なサービスの充実を図っているのですが、一方で現場からは異なる声もあります。
友人のケアマネさんは「財政もかなり厳しいから仕方ないのかもしれないけど、ますます介護の職に就く人は減るやろうし、一方で最後まで在宅で!って言ってくるし。長生きはしたらアカンのかな?」と嘆きにも似た声を届けてくれました。
そういう声が出るであろうことも事前に分かっていましたし、大幅な権限委譲で、「福祉のまちづくり」をどうしたいかは、和歌山市が考え、決めなくてはなりません。今回の委員会審査では、厚生労働省が提示する様々な介護事業メニューのうち、和歌山市に必要であろうものを選び、計画を立てなくてはならなくなるのを見越して、それらを選び決めるための基準、つまり和歌山市の介護福祉に対する理念について質しました。
厚生労働省が提示する様々なサービスがありますが、それらの全てが和歌山市の状況に合致するものではありません。ですから、必然と充実させたいサービスとそうでないサービスが出てきます。基本理念がなければ、事業者からの申し出だけで介護サービスが決まり、本当に必要としているものが満たされないことも起こりえます。また、当然に介護保険料というお金が使われるわけですし、求めるものも地域によって差が出ます。その点を、和歌山市として考えを持っているのかが、私は重要だと考えています。
まだまだ勉強途中ですが、引き続き高齢者の福祉施策について、研究していきます。
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